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ブログ

「episode.2」

applim (ビジネス)

1年前

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    37

口を開こうした渡邊に注目が集まる。
渡邊は一瞬ためらったが、それでもこう聞いた。
「星屑ランプ愛好会のみんなで今度、星見に行きませんか?もちろんこうやって部屋で喋るのも楽しいんですけど、星空の下で語り合うのもなかなかいいかなーって」
渡邊の言ったことは1年全員が思っていたことを代弁していた。
星屑ランプ愛好会にも関わらず、星やランプの話が出てこないことにはみんな違和感を覚えていた。
「阿智村って知ってます?日本で一番星空が綺麗な村なんです!一回行ったことあるんですけど本当に綺麗で…」
渡邊そう言いながら自分のスマホで阿智村のサイトを開いて西山先輩に見せる。
「んー、阿智村ねぇ…」
西山先輩はとりあえず、という感じで相槌を打つ。
「ツアーもありますし、一泊なら今度の土日ですぐ行けます!」
渡邊は続ける。
勝川先輩は興味の無いような顔で渡邊の話を聞いている。
先輩2人の態度に痺れを切らしたのか、それまで我慢していたものが一気に渡邊の口から流れ出た。
「あの、先輩たちはなんでこの愛好会に入ったんですか?星が好きじゃ無いんですか?ランプに興味ないんですか?毎回毎回特に中身のない雑談ばかりして…てか4年生と2年生はいないとして、先輩方の2つ上の先輩はいたんですよね?!その頃からこんな雑談ばっかりしてたん…」

「おい、もういいだろ。」
僕は気づいたら思わず口を挟んでいた。
それは興奮気味な渡邊を抑えるためではなく、先輩2人の様子の変化を察したからだ。
西山先輩は渡邊と目を合わさずただ下を向き、少し顔色が悪いように見えた。
勝川先輩は渡邊の方を見ていたが、その目はいつもの穏やかな勝川先輩の目ではなかった。
「もー、急に何言い出すのよ!」
「先輩すみません、この人たまに変なスイッチ入っちゃうんで、私たちのなかでは二重人格なんじゃないかってなってるんです!」
三橋と須田も先輩の異変に気付き、場をとりつくろう。
「すみません…」
渡邊も我に帰り、少し熱くなったことを反省しているようだった。

結局その日はそこでお開きになった。
僕達1年生4人は先輩2人を残して部屋をあとにした。
しばらく無言で歩く時間が続いたが、須田がふと思ったように言った。
「私は渡邊が言いたいことわかるけどなー。」
たしかに須田の言う通りだ。
渡邊の言ったことは僕もずっと気になっていたことだ。
こういう文化系の愛好会で、あまり活動をしないところがあるのは珍しいことではない。
しかし、毎回どこかに遊びに行くわけでもなく、飲みに行くわけでもない。
ただ部屋で雑談をするだけ。
それだけならわざわざあんな行きづらい部屋でする必要もない。
なぜ先輩はこの同好会に入り続けているのか。
そこはいいとしても、渡邊が話している時の2人の態度は明らかにおかしかった。
いつもの先輩ではなかった。
「そうだよな、やっぱり阿智村行きたいよな。」
渡邊は須田の言いたいことを勘違いしているようだ。
「そこじゃなくて…もういいや。」
須田は渡邊の鈍臭さに呆れている。

ふとポケットに手を入れるとスマホがない。
どうやら同好会の部屋に忘れてきてしまったようだ。
「ごめん、部屋にスマホ忘れてきたみたいだから先帰ってて!」
そう言って、僕は1人古びた建物の8階に戻った。

ドアを開けると部屋には誰もいなかった。
先輩たちは帰ったようだ。
スマホを探し始めたが、困ったことに忘れたと思っていた場所にスマホがない。
誰かいれば電話でもかけて貰えばいいのだが。
「渡邊でも連れて来ればよかったな。」
そうため息混じりにつぶやいた時、ちょうど聞き覚えのある通知音が鳴った。部屋の隅の本棚の方からだ。同好会に入ってから気に留めたこともなかった。僕の頭より少し高く、棚は8段。星に関する本、ランプに関する本がぎっしり詰まっていた。
「そういえば渡邊は良くこの本棚の本読んでるな。」
そんなことを思っていると、さっきと同じ通知音が一番下の段から鳴った。
見てみると、一番下の本棚の本と本の隙間に僕のスマホはあった。
きっと三橋あたりがいたずらでやってそのまま忘れていったんだろう。困ったやつだ。
通知は渡邊からのメッセージで、駅前のファミレスで待ってるとのことだった。
三橋と須田は明日、朝が早いから帰宅したとのことだ。
メッセージを確認し立ち上がろうとしたが、スマホがあった隣の本が少し気になった。
手に取ると、それは本ではなくアルバムだった。
日付は…去年のものだ。
去年のアルバムといえば、勝川先輩、西山先輩の2つ上の先輩が写っているはずだ。
僕は迷わずアルバムを開いた。
一番最初のページは集合写真だった。
そこに写っていたのは勝川先輩と西山先輩を含めた12名。意外と多かったんだな、などと思いながらどんどん読み進めて行く。
そこには星空の写真や、自分たちで作ったと思われるランプの写真もあった。
どうやら星屑ランプ愛好会としての活動はちゃんとしていたようだ。
楽しそうな写真が続き、最後の写真を見終わりアルバムを閉じようとしたが、思わず手が止まった。
アルバムの最後のページの文字が気になったからだ。
そこには当時のメンバーの名前が記されており、もちろん二年生の頃の勝川先輩、西山先輩の名前はあった。が、気になったのはそこではない。
「3年…1年…。なんで…。」
おかしい。そこには去年の3年生と1年生の名前があった。今の星屑ランプ愛好会には4年生と2年生がいない。つまり去年の3年生と1年生はいないはずだ。いたとしてもなんらかの事情で辞めたのか…。いや、先輩たちの話では1つ上と1つ下の学年はメンバーが入らなかったって話だ。
でも、そうすると先輩たちは嘘をついてることになる。一体なんでそんな嘘を…。

ガチャ。

頭を悩ます僕の後ろで、突然、部屋のドアが開いた。

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