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ブログ

「episode.4」

applim (ビジネス)

2か月前

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    9

「あの子たちには知る権利があるんじゃないか。」
高橋先輩から届いたメッセージにあったその言葉がずっと頭をぐるぐると巡っていた。
どうしたらいいのか、どうしたいのかも分からず気づいたら渡邊くんが企画した阿智村合宿の日になっていた。
バスに乗るなり遠足の小学生のようにうきうきと話を弾ませる4人を横目に勝川が口を開く。
「前にも言ったけど誰かが気付いたときは俺がなんとかするから」
強気な言葉とは裏腹に表情は暗く重い。
「うん。とりあえず今はこの時間を楽しまなきゃね。」
せっかく"かわいい後輩"が企画してくれたのだ。"先輩らしく"努めて明るく振る舞おう。
まさか今夜全ての真実を話すことになるとも知らずに私と勝川は声を弾ませ、もうすぐ着くよと4人に声を掛けた。


河原でバーベキューをしたり、ランプを作ったり星の話で盛り上がったりしているうちにあっという間に日は暮れた。
次は花火だ!!とはしゃぐ渡邊の隣でふと携帯を見る。
「みつは!……っと違ったごめん三橋さん。ここ照らしてもらってもいい?」
声のほうを向くと勝川先輩がいた。
「はーい!」
みつは、って子が前にいたりしたのかな?
可愛いあだ名だなーなんて特に気にもしなかったけれど勝川先輩はなんだかひどく動揺しているようだった。
「先輩、大丈夫ですか…?」
「あ、うん、ごめん。ただの呼び間違え…」
なんだろうこの居心地の悪い感じ。少しだけ胸騒ぎがした。

花火を終えて今回の目玉、天体観測が誰からということもなく自然にスタートした。
辺りは真っ暗で虫の音と涼やかに吹く夜風だけが感じられる。
「武田武田!!この覗くと真ん中にある星、何等星かなっ??明るいけど少し青みがかってるし2等星くらいかな!?」
こうなったら渡邊は止められない。
1人でずっとひたすらに望遠鏡を覗きながら喋っている。
俺を含め5人は時々雑談を挟みながらのんびりと阿智村の星空を堪能していた。

穏やかな時間だ。

「去年はどんな感じだったんですか?」
須田がおもむろに先輩2人に視線と声を投げた。
ちょっと待て、いきなりそのタブーな方向、大丈夫か。
しかも去年も合宿があったことを俺たちが知っていることを先輩たちは知らない。
知られてまずいことだったのかも分からないがなぜか焦りが止まらない。
そんな俺をよそに西山先輩がいつもと同じトーンで話し出した。
「ん〜〜去年かあ…あっ!村の探検とかしたよ!
穴場の観測スポットとか探したり!」
「え、じゃあその穴場行きましょうよ!」
「ああ、それもアリかもねえ」
会話があまりにふつうでなんだか拍子抜けしてしまった。
別にまずい内容ではなかったのか。
いつの間にか星空興奮タイムを終えた渡邊も輪に加わっている。
須田はいつものおしゃべりを発揮し続け、ひと通り満足するまで喋った最後、ぽつりと呟いた。
「なんだか懐かしい感じがするんですよね〜この場所もそうだし、なんていうかこのメンバーの雰囲気?実は前も一緒に来てたり、なーんてそんなわけないか!」
「あ、少し分かるかもそれ」
微笑ましい須田の言葉に俺は同調した。
「落ち着くなあ〜〜これが運命ってやつかあ〜〜」
笑みをこぼし嬉しそうに天を仰ぐ須田。
つられて俺も満天の星空へ顔を向ける。

「西山先輩…?」
三橋のか細い声が聞こえ、空にあった視線を西山先輩に落とす。
一筋の涙が頰を伝っていた。
それを見た勝川先輩の表情も暗く歪む。

…え
ぐらり、と心が大きく揺れた。

「ほんっとうに…何も覚えてないんだね……」

西山先輩は消え入りそうな声でそう言った。

「…ごめん勝川…もう無理だよ…。」
「西山…駄目だ、話したら…」
「もうどうなったっていいよ!!みつはもかおりんもだっちもべっちも…もう何も覚えてない…覚悟はしてたけどこんなの耐えられない…悲しいよ寂しいよ苦しいよ…っ」
「そんなこと言ったって…」


「ほんとうは…、私たち幼なじみなのに…っ」



……おさな…なじみ…?

取り乱す西山先輩から出た言葉が飲み込めず、つっかえたまま長い長い数秒が過ぎていった。



「…会ったことある気がするって初めてこのサークルに来た日、俺、思った…」
唐突に渡邊が瞳を揺らしながら言った。

この言葉を聞いてなぜかすぐに思い出す。
初日に西山先輩がサークルについて説明しているとき、渡邊がアイコンタクトで俺に何かを伝えようとしていたことを。

そんな…こと…


「演技うまいっすね」
「冗談下手すぎますって!」
「エイプリルフールまだまだ先ですよ」

そんな言葉を口にしたら数分前のあの穏やかな時間は戻ってくるだろうか。

この張り詰めた空気と冷たく見下ろす星たちがその問いの答えだった。

ざあっ
黒い夜風が木々を揺らし、鉛のように重く体に纏わり付いた

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